~クレーマーの深層心理~

観察力・想像力・伝達力の3つのチカラを磨いて
働くあなたを応援したい人材育成トレーナーの岩村良恵です^ ^
今日はクレーム対応のお話です。
心理学的なアプローチで接客者の心を守る
そんな内容になっています。
良かったら接客や人間関係の参考にしてください。
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私たち人間は、社会的な動物。
だから孤独が嫌いです。
ちなみに、
「一人でいること」と「孤独」は別物です。
何が違うかというと心の中が真逆なのです。
つまり、
「一人でいること」
は単に物理的に一人でいるだけで
心の中では、他者や社会とのつながりを感じ
自分も他人も尊重できている状態。
そんな心の状態で一人時間を楽しめるって
ある意味、とても健康なことだと思います^^
一方、
「孤独」
というのは心が他者とのつながりを
感じられていない状態。
それは
誰かと一緒にいても、たとえば
ものすごい大勢の人に囲まれていても
本人の心が閉じていれば、寂しく苦しい状態。
そんなネガティブ感情を抱えているとき
人はそれを
「誰かとつながる行動」
をすることで叶えようとします。
それを
「あなたと一緒にいたいんです!」
と好きな相手に素直に伝えてみたり
「今日っけ人で寂しいので遊んでください!」
と茶目っ気を含んだ口調で友人を誘ったり
そんなポジティブな行動で示せれば
なんの問題もないのですが
大人になると、
現れることがある。
いわゆるハードクレーマーと言われる人の多くは
そんな心の孤独に突き動かされて
「否定的な関係」でもいいから
誰かとつながっていることを選択してしまうのです。
だから、
接客担当の方にはぜひ意識していただきたい。
お客様のクレームが不当だな、と感じたら
その人の言葉の中に以下の傾向がないか
チェックしてみてください:
・ 自分の非を決して認めない
・ 相手の非ばかりを強調する
・ 正論をぶつけまくる
・ 自分が被害者であることを強く訴える
・ 感情的になって収まりがつかない
・ こちらの話を一切聴こうとしない
・ 担当者を個人的に攻撃しようとする
・ 攻撃性の弱そうな(優しそうな)担当者を選んでいる
これらに当てはまった場合
あなたが真摯に傾聴し、相手に共感し
親切に対応しようとすればするほど
相手はメリットを感じてしまいます。
なぜなら、
相手はあなたと関わることによって
「孤独を解消する」
ことを無自覚に目的としているからです。
私は長年、接客をしてきて
クレーム対応も数多くしてきました。
その中で、だんだんわかってきたこと。
それは、クレームには3種類あるということです。
① 正当なクレーム
② 不当なクレーム
③ 感情処理のクレーム
です。
①の場合、
それはお客様による正当な権利の主張です。
例えば、
「赤いシャツを頼んだのに青が届いた。交換してほしい」
「急いでいるのに全然対応してくれない。早くしてほしい」
「高いお金を払っているのに接客が雑。丁寧にしてほしい」
などです。
この場合、お客様が享受すべき当然の価値を
手に入れられていないのですから、対応者は
誠心誠意、お詫びをし
お話を伺って
最善の対応をすべきでしょう。
②の場合、
それはお客様による提供者側への
必要以上に過度な要求であることがあります。
例えば、金品目的のクレーム。
「赤いシャツを頼んだのに青が届いた。
私に迷惑をかけたのだから、損害賠償を支払え!」
「急いでいるのに全然対応してくれない。
おかげでこちらは時間を奪われたからタクシー代を払え!」
「高いお金を払っているのに接客が雑。土下座して謝れ!」
みたいな感じです。
この場合、冷静に話を聴いた上で
どのように対応するかは、
会社や経営者の方針や社会常識
場合によっては法的知識や弁護士の助け
なども必要になってくるかもしれません。
そして問題の③の場合。
これが多分、一番手ごわい(私の経験上)。
なぜなら、正解がないからです。
むしろ、正解はクレーマー自身も
自覚していない場合が多いです。
だって本人は「孤独を紛らわすため」に
クレームしているとは気づいていないからです。
でも、このことを意識して対応していると
経験を積むごとに何となくわかってくるものです。
「どうしてくれるのよ!責任取ってくれるんでしょうね」
「あなたのせいで私が●●になったじゃないの!」
「私がどんな気持ちで●●なのかわかってるの!?」
など、
相手を責める口調や自分のネガティブな感情を
ことさら振りかざすような発言をするときは
少し心の声に耳を澄ましてみると
「私は寂しい」
「私は無視されたくない」
「私は誰かに尊重されたい」
「私は一人にされるのが怖い」
といったような、悲痛な叫びに
聞こえてくることがあります。
本当はものすごい孤独感と戦っている
それに気づいたとき、私たち接客者は
どんな対応をしたらよいでしょうか。
きっと、接客を志す方の多くが
「人を喜ばせたい」
という思いが強い方だと思います。
きっと、寄り添ってあげたくなりますよね。
でも、ここで肝心なのが
/
相手の孤独感は相手自身にしか埋められない
\
ということです。
とても残念ですが、
接客者がその場で一生懸命つきあっても
その場しのぎの気休めにしかならないのです。
だから、諦めてください。
そして、あなた自身の感情をぜひ
大切にしてほしいのです。
昨今、カスタマーハラスメントによって
多くの接客者の方が心に傷を負っています。
それは、
火事の建物にお取り残された人を助けようと
自ら火の中に飛び込んでいき
煙に巻き込まれてしまう人に似ています。
接客者は心理カウンセラーではありません。
あなたの仕事は、お客様に素敵なサービスを提供をし
プラスの感情をお届けすることです。
決してお客様のマイナス感情に巻き込まれて
自ら傷を負ってしまうことではない、と私は思います。
だから、
そんな場合には、あなたの感情を大切に。
「怖いのでそれ以上、大きな声を出さないでください」
「今、恐怖感を覚えています。
お願いですから、それ以上近づかないでください」
「今、お客様が仰った言葉にひどく傷つきました。
申し訳ありませんが、マネージャーを呼びますので
少しお待ちいただけますか?」
など、相手の感情に巻き込まれる前に
毅然と「自分の感情」を守る側に回り
次なる冷静なアクションを取っていただけたらと。
何より大切なのは、あなたの心です^^