~空気を読みすぎる日本人?~
Japanese people read the situation too much?
こんにちは。
接客コミュニケーション コンサルタントの岩村良恵です。
今日はコミュニケーションについて異文化比較で
お話したいと思います。
空気を読めるって良いこと?
「あの人って空気読めないよね~」
という表現をよく耳にしますね。
社会生活において、その場の状況を察して
相手に余計な気を使わせないようにしたり
その場の雰囲気を壊さないようにする能力は
必要だと思います。
でも、
時として空気を読みすぎるあまり、気疲れしてしまう
ということもあるのではないでしょうか?
” 懇親会の席で、本当はそろそろ帰りたいのに
その場が盛り上がっていると、言い出せない・・・”
” 最近、残業続きで体力も限界💦
本当は定時で仕事を上がりたいけど
先輩や上司が忙しそうにしているのに
自分だけ帰るなんて、言い出せない・・・”
そんな風に日々、無理を続けているうちに
気づいたら自分が思っている以上に疲弊していた!
精神を病んでしまって、病院に通っている。
私は仕事柄、企業研修でお目にかかる方から
そんな声を聞くことがあります。(それも結構な頻度で)
日本の職場では、「空気を読むこと」も
ビジネスマナーの一つだとされることがあります。
もちろん、組織のメンバーとして働く以上
相手を思いやったり、周りと協調する、という意識は大切。
でも、それが行き過ぎて無理をし続け
自分の心や体が悲鳴を上げているのも無視して
周りに合わせ続けると、気づかないうちに
立ち直れないほど疲弊してしまうことも。
あなたは
空気を読める人?
空気を読めない人?
最近は、
「敢えて、空気を読まないようにしてます」
と言う方にもお目にかかりますが(^▽^;)
私は空気を読むことは大切だと思いますが
その上で、
きちんと自分の状況や正直な気持ちを伝える術を
身に着けることはもっと大切なのではないか
と考えています(^^)
島国の日本では…
あくまでも個人的な感覚ですが、
私は日本人には、空気を読める人が特に多い気がします。
そして、
その場の空気を乱すくらいなら、自分の本心は後回しで
相手に合わせようとする人も多い気がします。
これってなぜなんでしょう?
以前、フィンランドの航空会社で働いていた頃
ヘルシンキ在住の日本人マネージャーの女性から
こんなお話を聞いたことがあります。
日本は島国。
海で囲まれた環境だからこそ
コミュニティの中で上手くやっていくことが
生きていく上で最優先だったと。
「村八分」という言葉があります。
いわゆる「仲間外れにする」という意味ですが、
もともとは、江戸時代以降の村落でできた私的制裁のこと。
村のおきてに従わない者に対し、
村民全体が申し合わせて、その家と絶交すること
だったのだそうです。(想像すると、怖いですね💦)
ちなみにこの「八分」とは、村の10ある行事のうち
火事と葬式の2つ以外の8つは一切かかわらない
という意味だそうです。
さすがに命にかかわる一大事では協力する
という意味だったみたいですね。
義理と人情の日本!な感じがします(^^)
話を戻します。
つまり、そんな村社会 日本では
いかに村の仲間と諍いを起こさず上手くやるか
和を乱さず平和に暮らすか、が死活問題だったんですね。
一方で、欧米社会。
ヨーロッパでは各国が陸続き。
中世から国土争いが繰り広げられ
国境は目まぐるしく変化していました。
だから、極端なことを言えば、
昨日まで仲良くしていたお隣さんが
明日にはいきなり「敵国の人」になるかもしれない💦
信じられるのはまさに、自分だけ!
そんな緊張感の中で育まれた文化だからこそ
欧米では個人主義が発達したのだと。
その話を聞いたのは今から20年以上前ですが
かなり衝撃的で、今でもはっきり覚えています。
こんな歴史的背景の違いが影響しているのだとすれば、
日本人が空気を読みすぎて会議で発言できない
上司を前にしてなかなか本心を伝えられない
という現代の職場の実情にも、なんとなく納得しませんか?
「お客様は神様」ではない??
エアライン時代、同僚のイギリス人クルーの一言に
唖然としたことがあります。
ロンドン ヒースロー空港発 成田行きの機内。
満席のお客様を迎え、いよいよ日本に向けて離陸!
と思いきや、エンジントラブル💦
ということがありました。
すかさず機長のアナウンスが入りました。
“Ladies and Gentlemen, we regret to announce that
we have some technical problem with the aircraft.
It will take another half an hour to repair….”
(お客様にご案内いたします。誠に恐れ入りますが、機体にトラブルが
見つかりました。これより修理のため30分程かかる見込みです…)
機長のアナウンスは日本人乗務員がすぐに和訳して
お客様にお伝えしなければなりません。
でも、
直訳したら機内はパニックになりかねない💦
そんなとき、
私たち日本人クルーは直接的な表現を避け
お客様が不安に感じないよう、配慮していました。
「お客様にご案内いたします。
お急ぎのところ、誠に恐れ入りますが、ただいま
機体に調整が必要な箇所が見つかりました…」
これはまさに、
相手を不安にさせないように・・・
との配慮の現れですが
時として英語のわかるお客様からは
「婉曲表現もほどほどにね」
とたしなめられてしまったこともありました(^▽^;)
そんな中、機内でお急ぎのお客様から呼び止められ
「どうしてくれるんだ!ロンドンに着いてすぐに
大事なクライアントとの会食があるのに!」
と激怒されることもありました。
ペコペコと頭を下げてお詫びしている私を見て
同僚のイギリス人クルーから
”Why don’t you stop apologizing so badly?
The delay is not your personal fault!”
(何をそんなにペコペコ謝っているの?
飛行機の遅れはあなた個人の過失じゃないでしょ?)
と言われてしまったことがありました。
私は、
客室乗務員はお客様からすれば会社の代表であること
お客様の置かれたストレスを少しでも軽減することが
我々の務めだと思う、ということを
一生懸命に伝えましたが、
彼女にはわかってもらえませんでした。
「お客様に誠意を尽くす」
ということの定義そのものが
日本と欧米では少し違うのかな、と感じた経験でした。
相手を思いつつ、自分の想いも伝える
職場に限らずあらゆる人間関係において
相手を思いやることはとても大切です。
でも、
相手に気を使うあまり、自分の気持ちをひた隠し
すべて合わせることが良い、とは思いません。
大切なのはきっと
相手を思いながらも、自分の心も大切にすること。
つまり
「伝え方」を磨くことなのではないかな、と考えています。
だからこそ、私の研修では
相手にとって不都合な情報を伝えるときや
相手に負担となるお願いなどをする場合には
何を言うか (What) よりも
どういうか (How) を とても大切にしているのです。
例えば、
先輩と仕事帰りにゴルフの練習に行く約束をしている。
でも、ここのところ仕事がハードで疲れがたまっているし
本当は帰りたい(><;)
そんなときに、
「すみません。疲れが溜まってるので、やっぱり帰っていいですか?」
と、率直に伝えるのも一つですが、もう少し工夫して
こんな風に伝えてみてはいかがでしょうか?
「すみません。大変申し上げにくいのですが、
やはり先輩には正直にお伝えしてもいいですか?
実はここのところ、残業続きであまり眠れてなくて。
ゴルフ、ものすごく楽しみにしていたんですが
今日は帰って早めに休もうと思うのですが、大丈夫ですか?
次回はぜひ、私が予約させていただきます!」
クッション言葉を添えながらも
率直な理由、次回への期待などを
丁寧に伝えてお断りしてみる。
そうすると、
意外にも先輩は気を悪くするどころか
逆にあなたの体調を心配してくださるのでは?
(少なくとも私が先輩だったらそう思います)
ほかにも、
同じ質問を繰り返されるお客様に対しても、
「先ほどお伝えしましたけど…」
と始めるのではなく、少し言い方を変えてみる。
「私の伝え方が悪かったかも知れません…」
それだけで、お客様の気分は変わります。
こんな風に、伝え方をトレーニングすることで
空気を読みすぎて疲弊してしまう方を
ひとりでも減らせたら、、、と思って日々活動しています。
相手を思いやりつつも、自分の本心を上手に伝えられる
そんな人が増えるといいな、と思います(^^)
Let’s express our true feeling with thoughtful words?